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ウェブ進化論--本当の大変化はこれから始まる



ネット業界の人にはおなじみ、梅田望夫さんの本。
新書にするにはもったいないほど中身が詰まっているのだけれど、彼にとって読んでもらいたい人たちが「新書世代」なのでこうなったのでしょう。
しかし私の場合、新書って読まないよなぁ、最近。。。

なんというか、私にとってこの本は「生煮えのじゃがいも」みたいな感じで、がりがり噛み応えがありすぎて消化するのに相当時間がかかる。なので新書のくせに(分量のせいではなく)読むのに1週間以上かかってしまった。

個人的に一番良く分からないのは、「知の世界の秩序の再構築」という部分。これは梅田さんがコンサルタントという「知の世界」で生きているからこそ強く感じる問題意識なのかもしれない。一度お会いできたらこの部分の真の意図を聞いてみたい。

アメリカだと、これまでの知識人の権威が在野の専門家の台頭によって脅かされるという危機感があるようだ。けれど、日本でそれはあまり感じられない。
ブログの普及度合いの違いや議論に対する文化の違いというような理由もあるのだろうけれども、個人的には理論的で説得力のある文章を書くことの訓練が、日本ではあまりされていないことが大きいと思う。
私の場合、大学がアメリカ系だったこともあって、大学に入るとまず徹底的に「文章のシステマティックな書き方」というものを学ばされた。アカデミックな文章には構造というものがあって、その通りに書かねばならないという考え方、そしてその構造を元に文章を読めば著者の主張はすぐわかるというものだ。
最初は正直面倒くさいとおもったものの、後になるほどにそのありがたさがわかる。「論理的」というのは、実はフォーマットを使えばわりと簡単にできるものなのだ。
アメリカの場合、こういう教育がどこでもまず行われている(はず)。なので、在野の専門家であっても、それなりに誰でもわかるフォーマットで「論理的」な文章が書けるのだ。
そして「知の専門家」も、実は基本的には同じフォーマットを使っている。だからブログなんてもので同じフィールドで比べられてしまうと、実はあまり変わらない、もしくは「在野の専門家のほうがいいじゃん」となってしまう。これはまずい。

一方、日本では書くことの専門教育を受けている人は実は少ない。大学でも論文の書き方などは学ぶが、その基本が物語の「起承転結」だから始末がわるい。「転」とは型を破ることなので、型が身についていない人間がやっても論理が破綻するだけだ。だからこそ、「論理的な文章」が書ける人は重宝されるし、その価値は当面高いままだろう。
ブログの登場&普及で、文章を使って議論する場が生まれて書き手のレベルが上がってるのは素晴らしいと思うし、自分もそうでありたいと思う。でも、多分このスピードでは遅すぎる。

というわけでこのままいくと教育改革論になってしまいそうなので割愛。

あと、この本の中で最も衝撃的だったのが、富の再分配を図るアドセンスを使うと、ユーザー1人あたりの収益はがんばっても10万円程度であるということ。
「途上国の人の生活水準を上げて豊かにするということは、先進国が貧しくなることに耐えることだ」というのを頭では理解していても、実際に数値を突きつけられるとやはり厳しい。
10万円でできる生活というと、やっぱりちょっと苦しいよな。。。

あと、「ドッグイヤー」なんてものが起こるのは、アトムと違ってビットは光の早さで動けるからなんだよね、ってこともあらためて納得。陰を美しいと思う自分としてはいささか複雑。

以下、印象に残ったことば。

・「インターネット上には、善悪、清濁、可能性と危険・・・そんな社会的矛盾の一切を含んだ混沌が生まれている。そして『次の10年』を考えれば、好むと好まざるとに関わらず、その混沌がより多くの人々のカネや時間を飲み込んでどんどん成長し、巨大化していく。だから、可能性よりも危険の方にばかり目がいく。今はそんな時代である」(P20)
・「日本の『あちら側』についての認識は今のところ、『こちら側』にイノベーションを起こすために必要な仕掛けという程度である」(P60)
・「グーグルは、PC産業興隆の副作用として消滅した『本当のコンピュータ・メーカー』になろうとしたのだ」(P67)
・「全く新しいグーグル経済圏をネット上に形作ろうとしているのだが、製造業の経済圏に慣れ親しんだ私たちにはそれが見えない」(P76)
・「道具自身に革新性があるのではなく、すべての情報を共有することを原則に『情報自身の淘汰』に委ねるという思想のほうに革新性があるのだ」(P86)
・「消費者を主対象とするネット産業というのは、そもそもが『生活密着型サービス』と把握するほうが普通」(P91)
・「人材の厚みや技術の蓄積から考えれば、日立、東芝、富士通、NEC、ソニー、松下といった日本のIT企業、コンシューマー・エレクトロニクス産業を牽引してきた大企業に向けて、『半導体に飛びついて電子立国・日本を達成し、PCにも飛びつき巨大なPC関連産業を日本にもたらしたのに、なぜインターネットには飛びつけなかったのか?』と問うべき」(P91-92)
・「(グーグルは)テクノロジーを徹底的に極めることでメディアビジネスを全く新しいものにしてしまおうという破壊的な意図を持っている」(P94)
・「アドセンスのロングテール部分には『負け犬』が並んでいるのではなく、未知の可能性を持った存在が並んでいる」(P106)
・「ベゾスはネット上のたくさんの小売事業者(中略)が、アマゾンのテクノロジー・インフラに寄生しなければ生きていけないような世界を作ることを思い描いた」(P114)
・「アンチ・エスタブリッシュメント的気分とオプティミズム(楽天主義)が交じり合ったシリコンバレー的精神が、Web 2.0の背骨となっている」(P122)
・「開放された『あちら側』のデータやサービスを利用して何かの機能を実現するためには、自分も開放的でなければならない」(P128-129)
・「これからのネット列強の役割とは、ロングテール追及の連鎖をウェブ全体に引き起こす主体となること」(P130)
・「『ブログとは、「世の中で起きている事象に目をこらし、耳を澄ませ、意味づけて伝える」というジャーナリズムの本質的機能を実現する仕組みが、すべての人に開放されたもの』」(P147)
・「『相手が読者ならば自己へのコンセンサスがある状態から交渉を始めるアドバンテージを得られる。それだけのものが、金も人脈も後ろ盾のない人間が手に入れる唯一の手段が、情報の開示なのだと思う』」(P164、fladdict.net blogからの引用)
・「大学院に進んで基礎を固めなければ何も始まらないバイオテクノロジー等と違って、コンピュータは独学が効く。だから昔も今も、少年たちはコンピュータにのめり込んでいく」(P219)
・「ネット上の新事象群に世界中の若者たちが興奮するのは、ネット全体がこの方向に動けば、若い世代に新しいチャンスが巡ってくると直感しているからである」(P224)
・「『シリコンバレーに日本人が少ない理由』は、ここ何十年もの間、日本の大企業が技術系大学生・大学院生のトップクラス大半を新卒採用し、自由度の高い研究の場や世界最先端の技術開発プロジェクトに関わる場を与え、さらには終身雇用という安定した好条件(中略)を提示し続けていたからである」(P231-232)
・「日本という国は『いったん属した組織を一度も辞めたことのない人たち』ばかりの発想で支配されている国である」(P233)
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プロフェッショナル広報戦略



先の選挙で自民党を大勝に導いたという、自民党の広報部隊を一手に率いた世耕議員の本。
もともとはNTT民営化後の広報部に所属していたという彼は、このためにキャリアを積んできたのではないかと思わせるほどいいキャリアの積みかたをしている。
朝の6時半から主要新聞・雑誌の切り抜きをしているという話には脱帽。おいらぐっすり寝てます、その時間。。。
中身が濃い割には読み口が軽いので、さくっと読めちゃう。
勢いと情熱が感じられる、いい本です。

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた



「グーグルが世界を変えた」なんていわれると、
「えー、まじかよー」と思ってしまうあまのじゃくな私としては、
グーグルがどうこうというよりも、この本がこれまでの検索の歴史に「意味」を与えてくれたことを評価したい。

アイデアラボとか、オーバチュアとか、ヤフーとか、その個別の動きは知っていても、その関連性やその後に与えた影響はあまりよくわかっていなかったから。

著者のJohn Battelleの文章が軽妙かつ親しみやすいので、それなりに分厚いけどわりと楽しんで読める。
時々、機械翻訳のままとしか思えない、訳分からない日本語訳に出会うがまぁそれでも許せるのはきっとBattelleの功績。

それにしても、「検索」という言葉はユーザーの行為を示す言葉であって、技術的意味を示すんなら「マッチング」って言ったほうがより分かりやすいと思うんだよね。そもそも「人は本当にそんなに検索したいのか?」というギモンが私にはある。たとえば将来の旦那を探すにしても、「探している」といいながら実質は出会ったものの中からセレクトしているので、概念的にはLife is beautifulの「恋はブックマーク」のほうがとってもしっくりくる。


以下、印象に残った言葉。
・「わたしたちが入手できる情報量が爆発的に増えていくにつれて、検索エンジンはユーザーにとってインターフェースの隠喩(メタファー)となった」(BYレイミー・スタータ、P11)
・「若者たちがスタンフォード大学にやってくるのは、教育や訓練を受けるためではない。夢を実現するためにやってくるのだった。会社を興し、金持ちになり、テクノロジーの歴史に足跡を残し、たぶん世界を変革する夢である」(P99)
・「それぞれのコンピュータはノード(結節点)であり、そのノード同士を結ぶのがウェブページ上の各リンクである。(中略) ペイジは『WWWはこれまでに作られた最大のグラフかもしれず、しかも猛スピードで拡大を続けている』と推論」(P101)
・「ウェブを検索して、求めるものにマッチした結果が出ると、ユーザーはポータルから去っていくことが分かっていたから、検索結果を改良するのは、ポータル側の利益にならなかった」(P151)
・「『考えれば考えるほど、インターネットの真価はアカウンタビリティだと確信するようになりました』(中略)『広告主への収益率の保証こそが、あらたな広告モデルであるべきだと』」(BYゴートゥー・ドットコム(現オーバーチュア)創業者、ビル・グロス、P165)
・「『企業国家アメリカで、最後まで説明のつかない支出』」(BYグーグルCEO、エリック・シュミット、マーケティング予算について表現。P249)
・「核心をなすのは、プライバシーは信頼ということである」(P289)
・「グーグルはひたすら驀進を続け、成功以外は知らない」(P347)
・「物語とは、旅をして(ページからページへの旅をして)、その旅を持ち運べるものにする方法である」(P375)
・「人はいかにして学ぶか、全く新しい理解力がオブジェクトに備わっていなければならない」(P378、ユーザーの検索履歴を活用する「クリックストリーム」について)
・「人が編集した分類は関連性を見分けるのには、機械よりもはるかに優れているが、ウェブのサイズに合わせることができない。しかし無数の専門的な分類法の代わりにブログを使用したら、いったいなにが起きるだろう」(P393)

はてなSNS

カイ氏伝さんのとこで知った「はてなSNS」。

SNSのクローズド性がもともとわりとキライな私としては、
こういうのすごい好きだなぁ。
っていうかそもそもSix ApartのTypeKeyが拡張してSNSになると思っていたのにその後動きがない。
期待してたのになぁ。むー。

株式市場とM&A



周りの評判がとてもよかったので読んでみた。
ストーリーは単純で、1人の男の人が「カフェを作りたい!」と思ったところから始まって、友人からの資金集め、政府系金融や銀行からの借り入れ、店舗拡大、株式上場、さらにはM&Aを仕掛けたり仕掛けられたりといった展開になっていく。
それを主人公の目線で語っていくことで、株式とはなにか、M&Aとはどういうことかというのを平易に語っていく。


なんとなく知ってるけど、なんとなく知らない株式とM&A。
世の中はここにでてくる話のようにスムーズにはいかないけど、これを読んで仕組みだけじゃなく、実際にそれをやる人がどんなキモチになるのかまでわかって面白い。

オーマイニュースの挑戦



参加型のインターネットニュースサイトとして、多分世界で一番有名な韓国のサイト、「オーマイニュース」。
その成り立ちから現在までの軌跡と、なぜこれほどに盛り上がるサイトとなったのかが創刊者の目線で詳しく書いてある。

同じインターネットメディア運営者として、刺激になることが大きい。
読み手がその媒体の書き手になる動機は、つまるところ「自分で書くよりもそこで書くことで、生まれる何かがある」ということだと思う。そしてオーマイニュースの場合は、「世の中(とくに政治)を変えられる」という点にあるようだ。

もともと自己主張の強い国民性であること、政治への関心や「自分たちが変えなければどうにもならない」という危機感が強いことなどが背景にあるので、同じことが日本で起きるかといわれると多分もうないと思う。ブログもこれだけ流行ってしまったし。
ついでに言えば、コンテンツの大半は「生活」「政治」など、1人の力が強く働く分野でもある。これが「経済」だとそうはいかない。

それでも1人のジャーナリストが世の中を変えたという事実、そしてそんなジャーナリストが日本にいるのか、自分がなれるのかという問題は自分に突きつける必要がある。

印象に残った言葉は以下。
「インターネット・サイトを成功させようとするなら、ネチズンの口コミで広がるサイトでなければならない。一度サイトを訪問したネチズンが自ら広報担当になることだ。そうすれば広報用の広告宣伝費を使わなくても済む」
(「タンジ日報」の運営者、キム・オジュン氏のことば。P28)

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